リウマチは、関節や骨、筋肉などの筋・骨格系に痛みや炎症を起こす病気として認識されることが多いのですが、関節が痛くなる病気の総称は、リウマチ性疾患という表現が正しいようです。
実際の医療現場では、関節リウマチのことをリウマチとして表現していますので、患者さんやご家族は、医療現場においては、”リウマチ”=関節リウマチ”、であることをご理解いただく必要があります。
日本には、関節リウマチの患者さんが約70~100万人いるといわれています。30代~50代の女性に発症することが多く、40歳代では約2%の割合で関節リウマチを発病するとの報告もあります。
関節リウマチは免疫システムの異常によって起こる自己免疫疾患として分類され、自己免疫異常を確認するための検査、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が陽性になります。
関節リウマチは、免疫異常により関節炎が持続することが一番の問題点と考えられています。
関節炎が持続すると、腫れや痛みにより日常生活が障害され、全身倦怠感や貧血、炎症反応が陽性になります。持続する関節炎により、軟骨破壊、骨破壊が引き起こされ、関節の機能障害にいたります。
関節がおかされるだけではなく全身に障害が出ることも多く、治療が十分に行われないと平均余命も短くなるといわれています。
長期間関節炎が続いたり、短期間でも激しい、関節炎があると重篤になる病気ですので、関節の痛みを感じて日常生活に支障があると思われたなら、ぜひご相談ください。
関節リウマチの分類基準 (アメリカリウマチ学会 1987年)
20年以上、この分類基準が用いられてきた一番の利点は、専門家でなくてもリウマチの診断がほぼ確実にできることです。しかし、発症から早期の関節リウマチ患者さんでは診断がむずかしいという問題点がありました。
2009年10月、アメリカリウマチ学会学術集会(フィラデルフィア)にて、ヨーロッパリウマチ学会とアメリカリウマチ学会が共同で新しい関節リウマチ分類基準を発表しました。
この新しい基準では、RAによる活動性滑膜炎とX線の骨びらんが1つでもあれば、関節リウマチと分類して、MTXを早期に導入することが推奨されています。
その後の検討により、骨びらんは基準から外され、他の関節炎疾患を鑑別(除外)のうえ、腫脹・疼痛関節数、炎症マーカー、血清マーカー(リウマトイド因子、抗CCP抗体)、関節炎の持続期間をスコアリングして関節リウマチの分類を行うとの指針が示されています。
なお、この新しい分類基準の利用方法については、日本リウマチ学会で検討委員会が設置され、有用性や注意点を確認中ですので、日本での通常臨床に利用するかどうかは、専門家による慎重な利用および判断が大切なのだと思います。
近年のリウマチ治療では、生物学的製剤使用により早期関節リウマチが治癒する可能性が出てきていますので、関節のダメージがすすむ前のなるべく早期に、専門家による正しい診断、そして、適切な治療を患者さんに受けていただくことが重要です。
http://www.ryumachi-jp.com/info/news100831-2.html
(表1 新RAクライテリアのスコアリングシステム 2010版)